Log in to access resources reserved for MDRT members.
スランプを打破する
スランプを打破する

1月 03 2023 / Round the Table Magazine

スランプを打破する

負け続ける流れを変えて再び飛翔する。

対象のトピックス

アドバイザーはキャリアのある時点で負け続けるものです。なぜうまく行かないのか分からなくて、スランプが永遠に続くように感じることもあります。自分は金融サービスの専門家を続ける資質を持っているのか疑問に思うことさえあるかもしれません。マンネリ化した考え方から抜け出すにはどうしたらいいでしょう。同じ経験をしたMDRT会員が悪循環から抜け出し、立ち直るために行ったことをシェアします。

勢いをつける

シンガポールで活躍するMDRT会員歴26年のSteven Yam Seng Yee, CIAM, ChFCは残り2ヶ月なのにまだMDRTの入会基準に遠く及ばなかったスランプを思い起こします。現在MDRT会員歴23年の妻Shirley Lim-Yam, ChFC, CLUがこのビジネスに仲間入りし、MDRTの入会基準を初めて達成し、夫婦でアニュアル・ミーティングに参加する計画を立てたので、なおさらプレッシャーを感じていました。妻と一緒に参加するには自分が入会基準というゴールを達成しなければなりませんでした。最後の数ヶ月間は文字通りオフィスから姿を消すほどがむしゃらに働きました。妻Shirleyと参加するには新規の見込客を見つける必要があり外回りを続けました。山あり谷ありのこの業界で40年近く働いてきたYamによれば、復活するための特効薬は活動によって勢いをつけることです。目標達成のための数字にこだわるのではなく、今日できることに集中するのです。

「再び軌道に乗るために今日は何をすれば勝てるかを考えます。私にとってそれは勝利の精神を取り戻すことを意味します。勢いをつけたその瞬間に勝利の精神が宿り、自分が望んだ活動を行ってその日その日に勝利を収めることができるからです」とYamは述べました。

最初のステップは基本に戻り、この仕事を続けることがなぜ重要なのかと自問することです。私はなぜアドバイザーをしているのだろうか。その魅力は何だろう。この問いに答えられなければスランプから抜け出すのは難しいとYamは言います。彼の答えは家族を養うため、さらにお客さまに仕えるという天職を全うするためです。アドバイザーが目標到達までの長い道のりにくじけそうになったときは毎日どのような姿勢で仕事に臨むのかといった自分でコントロールできる事柄をコントロールし、目標にいくら足りないのか数字を気にする代わりに何を行うのかにフォーカスしてください。

見込客が応じるかどうかを管理できるアドバイザーはいませんが、電話をかける相手は誰でも管理できます。10人に声をかけて1件しか成約しなかった場合、断られたり、留守電を無視されたりしても自分に非があるとは思いません。むしろ10件の電話が1つの成功に貢献したと捉えています。なぜなら気難しい方の対処のスキルや、1件の商談を成立させるためのプレゼンテーションの磨き方を9件の電話から学んだからです。

「自分がどのくらい深いスランプに陥っているのかを気にするのではなく、活動に集中することで自分を立て直し、1日1勝することに目を向けるようになりました。それにより自信がついて軌道修正するのが楽になりました」とYamは語りました。

コントロールできる事柄に注力

スランプのときに簡単に始められる活動はFive by Nineクラブに参加することです。午前9時までに5本の電話をかけるのです。カリフォルニア州サンディエゴの43年間MDRT会員R. J. Kelly, AEP, MSFSは「毎日自分のやるべきことに集中することがポイントです。一般的に8時半から9時は仕事前の起業家、公認会計士や弁護士などの士業の方々をつかまえるのに最適な時間帯です。毎日5件の電話を5日連続でかけたら、自分を褒めてください。そして楽しんでください。直接お話しできなかったとしても、アクティブに行動できることを行っている自分にご褒美をあげましょう」と述べます。

また気を散らすものを制限できる環境に身を置いてください。パソコンや電話を留守設定にしてメールのリマインダーを無効にしましょう。活動はスランプを打破するための一歩ですが、To Doリストに20の活動を書き込んで自分を追い詰めてはいけません。その日にするべき最も重要なタスクを見極めましょう。Kellyは1日に3つのタスクを優先的に行うことにしているので、20件ではなくその3件をこなせば充実した日であると捉えます。さらに90日後に収入をもたらす活動を見極めることを勧めます。年間目標を達成しようとするより管理しやすいからです。

「スランプに陥るということは今収入がない、あるいは90日後に収入がない可能性があるということが含まれます。今は収入源が十分にあっても90日後に収入をもたらす活動をしていなければ90日後にスランプに陥ってしまいます」と述べました。

再び軌道に乗るために今日は何をすれば勝てるかを考えます。
—Steven Yam Seng Yee, CLU, ChFC

もう一つのお勧めは皆さんの成功を願っている熱狂的なファン、例えばお得意さまと親交を深めることです。「あなたのようなお客さま」が見つかるよう助けてほしいと頼んでください。見込客、クライアント、後援者になりそうな人、MDRTの仲間など毎週4、5人の人に電話で連絡を取りましょう。さらに望ましいのはコーヒーや朝食にお誘いすることです。

「私はおごるのが好きなのでもしご迷惑でなければ、私がお誘いしたので朝食をごちそうさせください。あなたには別の機会にごちそうになるかもしれません。ほとんどの方の答えはYesであり、こうしてより親しい間柄になっていきます」とKellyは説明します。

また自分の殻に閉じこもってはなりません。MDRTの仲間と協力し合ってお互いのことをチェックし、アカウンタビリティー(情報開示、説明責任)グループとして活動するようにしてください。

「スランプに陥っている人はたいてい自分のことを他の人に説明したがらないので説明義務を負うことは重要です。皆さんの成功に個人的な関心を持ち、いさめてくれる人が必要です。約束を守らないと痛い目に遭うと思って、本気で取り組んでください」とKellyは語りました。

誰かに話す

Mathew Thomas Fogarty, CFP, Dip FPは大口のクライアントと何度も連絡を取ろうとしましたが、彼女から一切返事が来なくなりました。ネガティブな思考がさまざまな疑いの悪循環を生じさせました。このまま音信不通になるのだろうか。このクライアントは自分のことを見限ったのだろうか。しかし同じオーストラリア人のMDRT会員と話したおかげで、彼は自分を立て直すことができました。仲間はFogartyに「頭を切り替えなさい」と言い、メッセージを準備してクライアントの留守番電話に入れることを勧めました。自分が何について話し合いたいと思っているのかを説明し、クライアントとアドバイザーとしての関係をどう思っているのかを尋ねたのです。その結果、そのお客さまは父親の事業を引き継いだばかりで、その売却に関することで頭を抱えていたことが分かりました。Fogartyは問題解決に向けて彼女をサポートし、より強固な関係を築くことができました。

不調が続いていると感じたら、一人きりにならないでください。Fogartyは3人のメンバーとアカウンタビリティー・グループを作り、定期的に互いの様子を確認しその週の良かったこと悪かったことを1時間ほど話し合うことにしています。パンデミックでロックダウンになった頃から開始したグループ通話は、時には人を奮い立たせるセッションになりました。

「アポイントの予定が少ないことが分かったら、それについて話し合うか、他の人が行っているアイディアを見てインスピレーションを得ることができます。メンバーが週に25本の電話をかけているなら、私も25本かけるべきなのかもしれません。今まで考えもしなかったことですが、本来やるべき事柄でした。良いアイディアはうまく行くと慣れてしまってやらなくなるものです」とFogartyは言います。

頭を切り替える別の方法はお悩みリストを書くことです。Fogartyの場合、困っている事柄をただ書き出すことが考え込むのをやめる助けになりました。「紙にまとめると問題が明確になり、それについて考えなくてよくなります。心配している事柄の大半は実際には起きないと思います。スランプから抜け出す最善の方法は狭いオフィスにじっと座っていないこと。スランプのことが頭から離れなくなってしまうからです」と語りました。

つながりを保って奮い立つ

7年前、Ana Sofia Rodriguez, MBAは病院で陣痛に耐えながらクライアントに面談キャンセルのメッセージを送っていました。パナマの17年間MDRT会員であるRodriguezは息子を出産するまで仕事に膨大な時間をささげていました。しかし小さな命を授かったことから、彼女はキャリアと新しい優先事項の折り合いをつけるために見直しました。

「なぜ働くのだろうか。アドバイザーに戻ることはできるだろうか、と自問しました。私を頼りにする赤ちゃんができ子育てに時間を充てなければならないので時間はますます貴重になりました。ただでさえ成功するとは限らないクライアントとの面談時間をどうすればより価値のあるものにできるだろうか。そのとき初めて自分の行っていることに疑問を持ち、ある種のスランプに陥りました」と振り返ります。

Rodriguezはこれからどうするべきか悩んでいたとき、MDRT Foundationの理事として招かれました。まだアドバイザーの仕事に復帰していませんでしたが、Foundationの理事になり年に2回の対面会議に出席することにより、MDRT会員のさまざまな視点に触れて仕事とのつながりを維持することができました。このことがカムバックしたいという気持ちに火をつけました。

「Foundationを通して世界中のさまざまなチャリティー活動を目にし、また携わっている方々が自身のビジネスを持っていることを知る機会になりました。私はビジネスの話に加わったり、壁に止まっているハエのようにじっと耳を傾けたりすることができました。自分にしか起きていないと思っている事柄が実は他の人も経験していることを知ると途端に孤独感が和らぎます。多くの場合、仕事に夢中になっている人の話を聞くだけで忘れていたビジネスに対する思いがよみがえり行動するよう背中を押してくれました」とRodriguezは言います。

最初はパートタイムで仕事を再開し、クライアントと会う時間と赤ちゃんのために家にいる時間を決めてスケジュールを調整しました。最終的には新しいスケジュールの中により生産的になれるスペースを見いだし、仕事と子育てを両立することに罪の意識を感じないようになりました。最近は、朝息子を学校まで送り、午後3時に迎えに行くまでオフィスでお客さまと面談をしています。

彼女は息子と昼食を取り、午後6時ごろまで一緒に宿題をします。それから1、2件クライアントと面談した後、家族で夕食を取り就寝します。さらにRodriguezはFoundationの理事仲間の成功談を聞いて、あることに挑戦することにしました。シカゴ・マラソンに参加したのです。それまでは5キロ以上走ったことがありませんでしたが、その人がマラソンを10回走ったと聞いて自身の習慣を改善する気になり、コーチを雇ってトレーニングを積みました。彼女は2019年のシカゴ・マラソンに出場し、先日はベルリン・マラソンも完走しました。

「意欲的な方々と一緒にいるとどうすれば自分の人生をもっと良くできるか、どのように自分に挑戦できるのかと自問せざるを得ません」と述懐しました。

基本に立ち返る

手抜きはスランプの原因になり得ます。アドバイザーは過去の経験から学んだ教訓やトレーニングを忘れ、近道をして見込客を獲得しようとすることがあります。

アイルランドの15年間MDRT会員Anthony Matthews Jones, BSC(Hons), QFAは「私達はお客さまの経済的な問題や好機について指摘することを忘れ、ただわき目も振らずに解決策だけを提示してしまうことがあります。見込客やクライアントは自分達の経済的な問題に気付かなければ、私達が示す解決策に興味を持つことは絶対にありません。こうしてさらにスランプに陥るのです」と言います。

スランプは成功が長く続いて自分は失敗することがない、ビジネスは簡単だと思い上がった後に起きることが多いものです。そのような人達は長年かけて磨き上げてきたプロセスを放棄し安易な方法に飛びつきますが、それではかえって時間がかかったり、断られてしまいます。

「何が効果的だったのかを思い出し、自分のプロセスを忘れないでください。実際にプロセスを遅らせることになってもクライアントに問題をできるだけ分かりやすく説明することに集中し、アクセルから足を完全に離します。最初の面談で自分から解決策を提供するより、見込客から解決策を求められることの方がスランプから早く確実に抜け出せます。最初に決めた指針、自分のやり方、そもそもなぜ成功したのかを思い出すならスランプは短時間で終わります。スランプから脱出する最高の動機付けは、成約をいただくことです」とJonesは語りました。

CONTACT

Mathew Fogarty mathew@fpbydesign.com.au
Anthony Jones anthony@amjfinancial.ie
R.J. Kelly rj@wealthlegacygroup.com
Ana Sofia Rodriguez asrodriguez@inversionesenseguros.com
Steven Yam Seng Yee stevenyamsy@gmail.com